先斗町~川床と「へしこ」

さばのへしこ
鴨川沿い、先斗町の川床











2012年6月26日 京都

京都は納涼川床のシーズンに入った。床下に川が流れていて見た目にも涼しい。仕事を終え、先斗町の路地に面した「山とみ」で舌鼓を打つ。昭和39年からやっている気さくな居酒屋だ。ぼったくりはないから、京都においでの節にはぜひ立ち寄ってほしい。

ここでいつもいただくのが、「さばのへしこ」。サバに塩を振って糠漬けし発酵させた本来は越冬のための保存食である。若狭地方の郷土料理だそうだが、これ、天然記念物級の美味さ、絶品!決して飲んべぇではない私でも冷酒がぐいぐいいける。塩っ辛くて、甘みがあって、噛めば噛むほど旨みが増す。だからついつい飲みすぎる。人気があるから一年中、メニューに出している。

全国各地で美味いものを戴く機会があるが、その度に日本人の食の知恵に心底、感服します。昔の人ほどグルメだったんですねぇ。化学薬品(食品添加物)でこしらえる工業製品にはできない食品ですから、相当な手間暇がかかるはずです。それだけ手間暇かけるから、きっと食べ物を粗末にはしないでしょう。本物の食品とは、そうしたものかもしれません。

祇園に「いづう」というサバ寿司で有名な老舗料理屋があります。京都はサバ寿司も有名です。腐りやすいサバを内陸で食べるための知恵ですが、ここではこれを冷酒でいただくのがツウの食べ方です。サバ寿司もへしこも、日本のスローフードの極みです。