日出人形~大分県速見郡日出町
2016年2月27日 大分県速見郡日出町
日出・・・「ひじ」と読む。別府湾の西側に位置する日出町は、その名の通り別府湾から昇る日の出を拝む町だ。
きょうは、日出人形作家の門上(もんじょう)さんの工房を訪ねた。遠くに別府湾を望む山側の高台にある。「日出人形」といっても、とくに歴史の由緒があるというわけではない。今は故人となったが、身体を壊して静養を余儀なくされたご主人が、人形作りなら自分でもできそうだということで始めたそうだ。現在はご婦人が跡を継いで細々と創作活動を続けている。
人形のテーマは十二支、動物、童話、子ども等々。機械を使わず手で形を拵えていくため、形はとてもシンプルで、丸みのあるその“ゆるさ”に心が惹かれる。見れば実感するのだが、それぞれの人形にちょっとした愛嬌があり、小さな動きを感じるのである。それを意識して作られたかどうかは今となっては定かではない、と夫人は語る。夫人も、御主人同様、かつてはグラフィックデザイナーだったという。それを聞いて、人形が醸し出している品の良いセンスの源が理解できた。かつて培ったデザインセンスが、日出人形のコケティッシュな味わいの秘密なのだと・・・。
日出は城下町。随所に往時の面影が残っていて散策も楽しい。その日出城址の下あたりに真水が湧き出すところがあって、そこに集まってくるのが「城下ガレイ」だ。その他、二階堂酒造の本社があり、二階堂さんのご自宅に隣接して「的山荘」という由緒ある別荘がある。現在は料亭になっていて、名物「城下カレイ」をいただくならここがお勧め。勢を尽くしたその建物、お庭は必見。家紋の刻まれた馬鹿でかい灯篭、クスノキの巨木、そして何より別府湾を隔ててサルの高崎山と樹氷の鶴見岳を借景にした広大なお庭は素晴らしい。一見の価値あり。