ドクダミの栽培農家を訪ねて~徳島県

徳島県三好郡東みよし町
2016年7月

梅雨真っ只中。四国地方は夕方から明朝にかけ、豪雨の予報。

取材一行は、東みよし町のドクダミの栽培農家を訪ねる。

徳島には、かずら橋などで知られる「祖谷渓」という秘境があるが

我々がたどり着いた畑は、地図で見ると、そこから西に数キロの地点だ。

いくつカーブを曲がったかわからない。標高はどんどん上がり

案内した方に聞くと400~500メートル、向こうの山の雲の高さと変わらない。

きつい山の傾斜にへばりつくように、点々と家が建つ。

家と家の距離は、数百メートル。ちょっと隣まで行くのに、急な斜面を行き来

しなくてはいけない。隣家とはいえ、大雨や大雪でも降ろうものなら

それぞれは孤立すると言っても過言ではないだろう。

山間地ならではの特異な風景であるが、正直、心静かに眺めることはできない。

不自由はないだろうか、寂しくはないだろうか、退屈はしないのだろうか・・・、

田舎で生まれた私も、これほどの山間地を知らないから想像がつかない。

生活インフラに心配はなく、スマホも使えるからと思えば、時代に取り残される

ことはあるまい。ただ、蒸し暑いこの時期、この畑で今、マムシに噛まれたら、

果たして救急車が来るまで持ちこたえられるだろうか・・・などと考えていることを

悟られないように、藪となった畑のドクダミに恐る恐る手を伸ばした。

この徳島訪問で、日本の47都道府県すべて取材に出かけたことになる。

その最後に、日本の原風景に触れたような気がする。